おもてなし精神卒業のススメ

 

 

こんにちは、勇者おでいぶです。

 

先日ふと思ったのですが、日本のおもてなしってかなりレベルが高いですよね。

「日本はおもてなしの国だ」、「日本のサービスは超一流だ」なんて言ってる人も沢山います。

 

コンビニは24時間空いてるし、従業員は常にニコニコしていて客の要望にも嫌な顔ひとつせず応えてくれる。

 

お店によっては、店の出口まで、購入した商品をもって見送ってくれるなんてこともあります。

 

海外ではこうはいきません。

店は夜には閉まるし、店員も客が見てる前で平然と喋ってたりする。

 

一昨年僕が旅行でローマに行ったときの事を思い出しました。

 

最終日にコロッセオに行った時の事です。

 

 

コロッセオはローマのメイン観光スポットなので、チケットを購入し2~3時間待たないと内部を見学することができません。(外から見るのはチケットなしで可能です。)

 

せっかく20時間かけて、「殺してくれ…早く殺してクレメンス…」って言ってるケツを慰めながら日本からやってきたのだから、コロッセオの中も見たいという事でチケットを購入することにしました。

 

受付にいたのは金髪碧眼の長身おねえさん。

モデルのようなスタイルで、顔も超絶美人でした。

 

思わずニマニマしてしまいそうなのを全顔筋で必死に抑えながらチケットを購入しようとしたのですが、お姉さんの対応に唖然としました。

 

f:id:davidoyusha:20171031230217p:plain

 

 

飴は舐めてるわ脚は組んでるわ、「はい、このチケットもってそこ並んで」とそっけない対応。

 

普段、勇者はノーマルなのですが、このスレンダー金髪美女のSっ気溢れる接客に思わず新しい扉が開きそうだったのを覚えています。

 

そうか!コロッセオは昔は罪人同士、若しくは罪人と野獣を戦わせる決闘場として使われていた。けど今はSMクラブとして機能していてこの子はSM嬢に違いない。なるほど、それならこの溢れるSっ気にも、男性のM心をこれでもかというくらいに刺激するクールな色気にも納得がいく!」と、友達と勝手に盛り上がっていましたが普通にコロッセオは決闘場でした。

 

コロッセオSMクラブではございません。初めて行く方は注意してください。

 

日本だったらクレーマーが走り寄ってきそうな対応に友達と二人で興奮していた勇者ですが、同時に「接客ってこんなもんでいいんじゃないの?」と思ったんです。

 

イタリアの接客は日本のようにきっちりとした礼儀もなく丁寧でもありません。

 

夕食を食べたレストランの店員さんは「ねぇねぇ、日本人?トーキョー行った事あるよ!コンニチハ!」とフレンドリーに話しかけてきたり、簡単なイタリア語を教えてくれました。

またお客さんの前であっても店員同士、常に楽しそうに会話をしていました。店員と客、お互いの笑い声で店内が活気に満ちていました。

 

コロッセオの受付SM嬢とレストランの店員に共通するのは、「店員と客を対等な人間として接客しているところ」です。

彼らの接客には日本のような丁寧さや厳格な規律こそありませんが、皆フランクに、友達のように接してきます。

 

客だからと言って理不尽な要求をする相手にはしっかりNOと言います。

店員、客という関係以前に対等な人間同士なのです。

 

そして国民にもそのような(対等関係の)サービスを認める土壌があるのです。

イタリア人にとっては、お店は夜閉まるのが当たり前だし、理不尽な要求は通らなくて当たり前という、「価値観の土壌」があるのです。

 

 

日本では昔から「お客様は神様だ」の精神が根付いています。

「金を払っているのだから尽くして当たり前だ」、「給料をもらっているのだから休日をつぶしてでも会社に貢献しろ」という価値観があります。

 

ちょっとした従業員のミスに対しても目くじらを立てて避難せずにはいられない。

 

日本の接客はミスが許されないので当然質は高くなります。

理不尽な客の要求にも笑顔で対応するように教育されます。

 

海外の旅行客から見たらまさに「おもてなしの国」に見えるのでしょう。

 

しかし客からの理不尽な要望にこたえ続けることは、それに対応する労働者の負担になります。

「どんな客の要望にも笑顔で答えるのが良い社員」

という価値観の元で教育を受けた社員は、理不尽にも笑顔で答えますし、客の要求も際限を知らず高くなっています。

 

日本は体裁や肩書、建前を大事にする国です。

それらを大切にするあまり、疲弊して本末転倒に陥っているケースが多いのではないでしょうか。

 

顧客からの評価、会社の体裁を守る為に無理な仕事を引き受けて、本当に守るべき社員を酷使したり

 

親の体裁を守る為に、行きたくもない大学に進学し、行きたくもない会社に入社したり

 

 

高水準のサービスが当たり前になってしまっている今、サービスを受ける側の要求は高くなりすぎています。それにこたえる為、サービスを提供する側の人間が疲弊しきっています。

 

「理不尽を笑顔で受け入れるのが一流の社会人だ」という価値観が、自分の首をしめているのです。

 

朝の満員電車に乗っている人の顔をみれば、この国の会社員が如何に疲弊し、ストレスを受けているかがわかります。

 

大学では四年になると「会社に入るともう遊べないから今の内に楽しんでおきな」とよく言われます。

 

定年になるまでボロボロに酷使され、常に客や上司の要求を満たさなければいけない中で、もらえる給料は少ない。そんな状況で、将来に希望が持てない若者が増えるのは仕方がないのではないでしょうか。

 

ヨーロッパでは納期に間に合わなそうな仕事はNOとしっかり断るし、休日にも会社から連絡を入れることは禁止になっているそうです。それがまかり通るのは、サービスを受ける側の人間が「それでもいいよ」といえる土壌、価値観があるからなのだと思います。

 

日本では今でも「金さえ払えば従業員を酷使しても良い」という価値観があります。

 

過度なおもてなし精神を辞めて、お互いに寛容になれる土壌が日本にもつくられれば、疲弊しきった今の日本が元気を取り戻す一因になるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラウドソーシング「ランサーズ」